築10年3階建ての千歳市Y様の事例です。
交通事故で身体が不自由になってしまったご主人様は、病院に入院して治療とリハビリを続けています。
自宅に戻れるようにリノベーションをすることになりました。
1)ホームエレベーターの設置
▼既存のバルコニーに面した2階リビング
1階は店舗と事務所なので、2階の大きなバルコニーのある場所を増築して、ご主人の寝室にと考えました。
▼ホームエレベーターを新設。ダイレクトにご主人の寝室です。
1階から3階まで使用できるエレベータは、基礎工事や構造体に補強工事が必要です。今回は、パナソニックのホームエレベーターを採用しました。役所への届け出も必要になります。
2)仕切りや段差をなくし、引戸でワンルームに。
▼リビング側には半透明のアルミフレームの3枚引戸で仕切ります。車いすの置いてある場所はベッドスペースになります。
▼寝室から直接サニタリースペースへつながります。
段差はなくす。ドアより引戸が開閉しやすい。
3)水廻りは家族も車いすでも快適に
▼既存の 洗面化粧台。奥がトイレでした。
▼ご主人が車いすで洗髪してもらえるように。手を洗ったりできるように高さや水栓の場所を調節。
カウンター下は足がぶつからずに入るように扉のないオープンタイプに。三面鏡の鏡裏に家族の洗面グッズもスッキリ収納できます。
身障者用の洗面台は病院の様に味気の無いものが多いけど、自分の好きなナチュラルな雰囲気に。楽しい気分で過ごせるようにと洗面台は造作を希望されました。
4)車椅子で使うトイレは、補高工事が必要
▼既存のトイレは階段下の狭い空間でした。これでは車いすのご主人が頭をぶつけてしまいます。
▼よく見てください。5㎝ほど便器をかさ上げしました。
すご腕!Y棟梁の床補高工事がスゴイ!と思ったら、大工さん・家具やさん・設備屋さん・内装屋さんの職人さんたちが、便器の形に合わせてくれました。これでぶつからずに使用できそうです。便座に座るときや低い場所から立ち上がるのが困難な場合はこのような工事をすることができます。
ご主人の使いやすい位置に手すりを付けられるように下地もしっかり入れています。
5)シャワーで全身が温まるバスルームへ
▼既存は段差をまたいで入るユニットバスの入り口でした。
▼段差をなくし、シャワーだけで全身が温まる新しい入浴スタイルの「シャワー・ド・バス」はLIXILさんのユニットバスです。
▼バスチェアを使用すると座ったまま浴室へ移動でき、浴槽へつかるのと同じように全身が温まるようです。
LIXILさんHPより引用
リフォームでこのシャワーの取り付けだけでもできるようです。
↓ 興味のある方はコチラを見てください
6)まとめ
車椅子のご主人もご家族も楽しく快適に過ごせる住宅にリノベーション。
今回の工事で大事だと思ったことをまとめてみます。
・日当たりや家族とコミュニケーションの取りやすいレイアウトを考える。
・水廻り空間を隣接させる。間仕切りを外してできるだけオープンに。
・段差解消や動線の見直しをする。
・ホームエレベーターなどの設備を取り入れる。
・既製品で対応できない場合は、体に合わせて造作する。
・窓の景色や外部への出入りもできると陽や風にあたることで生活にメリハリがつく。(窓の高さの調節やバルコニー空間)
・リハビリのトレーナーさんやケアマネージャーさんに今後予想される状況を聞いておく。
その他にも玄関を引戸へ変えたり、スロープをつくったりしました。
実際にご主人が生活するようになったときに調節することも出てくるかと思います。バリアフリー工事だからと病院の様に殺風景な住宅ではなくて、気分が明るい気持ちになれるようなインテリアや動線・使い勝手が大事ですね。
諸条件により、助成金を利用できる可能性がありますので、調べたほうがよろしいと思います。
車椅子の方が快適な住宅は、健常者の方も快適なはずです。ぜひご検討ください。
リノベーション事業部部長
中澤 広美
二級建築士 / インテリアコーディネーター / 増改築相談員 / マンションリフォームマネージャー / 整理収納アドバイザー1級 / キッチンスペシャリスト / BIS(断熱施工技術者)