リノベーションで防音対策できる?マンションの躯体面へのテレビ設置の場合

マンションの様に集合住宅の場合、隣家へテレビの音や話し声が漏れていないか不安に思っている方やリノベーションで対策が可能か?質問を受けることも増えてきました。現在リノベーション工事中の札幌市白石区S様の事例を交えてご紹介いたします。

工事前:リビングの隣の和室方向

年数の経過したマンションの場合は、ブラウン管タイプのテレビの置く場所を想定していたので、だいたいリビングの一画に置く想定なので、現状の薄型テレビをレイアウトしようと思うと少々困ることが多く、相談を受けます。  

1)鉄筋コンクリート造の場合

マンションの多くは、鉄筋コンクリート造であることが多いです。この場合は隣家との間の間仕切りは、『界壁』(かいへき)と言って、ほとんどが分厚いコンクリートの壁で仕切っている造りが多いです。私共では『躯体』(くたい)と呼んでおります。

工事前:和室の隣家との境目の壁

現在の生活スタイルを考えると、和室が不要でリビングを広げたいケースがとても多いです。S様も和室をリビングとして、この壁面側にテレビを想定しました。  

2)躯体壁側にテレビやオーディオ・大画面スクリーンを設置したい!

リノベーションでテレビを躯体壁側にレイアウトしたいので、お隣の家に音漏れを心配して、何か対策ができないか?ご相談を受けることが増えてきました。鉄筋コンクリート増のマンションと言っても様々な造りがありますが、多くを占めるのは、以下の2パターンです。 ①クロス直貼り仕上げ…コンクリートに直接、ビニールクロスを貼っている場合 吸音材を入れて、石膏ボードを張り、ビニールクロスで仕上げます。遮音性のあるクロスだと尚よいです。おおよそ、7㎝から10㎝程の厚みが必要のなので、少しだけお部屋が狭くなりますが、さほど気にならない範囲と思います。この厚みを利用して配線を施したりします。

工事中:木下地で付加す

躯体に木下地を等間隔に建てます。これが、石膏ボードを止める下地となります。ここに石膏ボードをはるので、正味7センチ位壁が厚くなります。私共は壁を付加す(フカス)と言っています。

②二重壁(GL工法)…コンクリートと石膏ボードの間にGLボンドによる空洞がある場合

そもそも、コンクリート壁と石膏ボードの間の空洞で音が共鳴(きょうめい)して、より音が大きく響いてしまう現象が起きます。 壁を一旦、はがして、吸音材を入れて、上から石膏ボードを張ります。あとは、①同様です。石膏ボードは、2枚張りにすると効果的です。 S様のマンションは、②GL工法でした。今回は、GLボンドもできるだけ掻き取ってもらいました。

工事中:和室を解体したところ

3)吸音材を入れる

様々な吸音材がございますが、今回採用したのは『ロックウールボード』です。軽量で柔軟性があるので取り扱いや施工性に優れています。 また、保温・断熱性能が高く、優れた吸音特性もあるため、幅広く使用できます。高密度を厚く入れたほうがより効果が高いと言えますが、お部屋の広さとのバランスを見ながら検討されるのが良いかと思います。

吸音材:ロックウールボード

注意!ロックウールボードは、納期1か月以上かかるようですので、余裕をもって注文をしましょう。 木下地に合わせて、大工さんにロックウールボードを詰めてもらいます。とても施工性が良いです。

工事中:躯体に木下地を組んで吸音材をいれていきます。

工事中:吸音材を入れたところ

石膏ボードは、2枚張りです。音の面バランスを崩すために石膏ボードは、厚みを変えた2枚張りに

工事中:石膏ボードを2枚張したところ

工事中:石膏ボードを2枚張したところテレビを置く壁面は、アクセントクロスを貼りました。

工事中:内装工事中

S様邸は、もう少しでお引き渡し予定なので、最後の仕上工事中です。 大きなテレビで迫力画面を楽しみたいお客様は必見の工事ですね。戸建でも「寝室とリビングのテレビの間仕切り壁で防音に配慮したい」というリクエストも最近多い気がします。参考になればと思います。詳しくはお気軽にご相談ください。

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リノベーション事業部部長

中澤 広美

二級建築士 / インテリアコーディネーター / 増改築相談員 / マンションリフォームマネージャー / 整理収納アドバイザー1級 / キッチンスペシャリスト / BIS(断熱施工技術者)

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